株式会社アシックス
( 兵庫県尼崎市 関西オフィス )
サステナビリティに貢献するエアアズアサービスを導入。
固定資産がB/Sから外れてオフバランスとなる効果も期待できます。
サービス開始後の効果について伺いました。
人事総務統括部 総務部 西日本総務チーム 荒戸 美雅氏(左)
人事総務統括部 総務部 資産管理チーム マネージャー 馬場 敦氏(中)
人事総務統括部 総務部 資産管理チーム 土肥 保之氏(右)
経理財務統括部 購買部 購買チーム 川田 真一氏(Webで参加)
1. 空調機の法定耐用年数が間近に迫る
エアアズアサービスの導入背景と導入時期をお聞かせください。
関西オフィスの建物附属設備に該当する空調機が13年を経過し、間近に迫った15年の法定耐用年数前に空調更新が必要
になったためです。そこで、2020年6月にエアアズアサービスを導入し、同時期にグループ会社のアシックス商事 東京
支店にもエアアズアサービスを導入しました。なお、エアアズアサービス導入にともない、関西オフィス、アシックス商事
東京支店双方の空調機は新たな機器に入れ替えました。
空調機をリプレースするあたり、どのような要件を求めましたか。
主には以下2つを要件として求めました。
1. コスト削減
導入コスト、運用コスト、保守・メンテナンスコストなど、空調機にはさまざまなコストがかかってきます。快適なオフィス空間を構築するためには空調機が必須ですが、これらのコストはできるだけ抑制したいところです。ですから、低コストで導入・運用できる空調機、あるいは低コストの仕組みを構築できる空調機の導入を思案していました。
2. サステナビリティは経営のど真ん中
「私たちを取り巻く環境をまもり、世界の人々とその社会に貢献する」の理念のもと、当社には常にサステナビリティが経営の根幹にあります。2004年にはCSR・サステナビリティの専任部署を設置するなど、社会と環境に配慮した事業活動を続けています。
2016年から2020年までの期間、当社が優先的に取り組むサステナビリティの目標は以下6つの通り。目標を鑑みた場合、空調更新においても、CO2排出量の削減に寄与するものでなくてはならないと考えました。
・製品・サービスのサステナビリティ
・製品の化学物質管理とトレーサビリティ
・事業活動の省エネ化と環境マネジメントシステム
・1次および2次委託先工場での安全で倫理的な労働基準とサステナビリティ活動
・ガバナンスと透明性、組織の効率化と一体感のある職場整備
・スポーツやMOVEを通じた健康な社会の発展への貢献
2. 空調機のサブスクリプションに興味
比較・検討したものをお聞かせください。
最終的に以下3つを比較・検討し選定することになりました。
1. 空調機の入れ替え
現在の空調機を使い続けるのではなく、まったく新しい空調機に入れ替える方法です。コストの試算次第では十分に考えられます。
2. 空調機の延命措置
当社はダイキンの空調機を導入していたのですが、メーカーのオーバーホール(※1)という延命処置を施すのが2つ目の選択肢でした。オーバーホールを施せば、今後7年は使用できるという話でした。
3. エアアズアサービスの導入
空調機のような設備機器の場合、償却期間と実際の耐用年数がほぼ変わらないため、あまりP/L(損益計算書)には影響してこないのですが、自社の持ち物ではなく、オーナーが事業者側に代わった場合はB/S(貸借対照表)から外すことができます。ただし、その場合は自社で保有した場合の償却費・維持費より高額になってしまっては意味がありません。
非常にシビアな試算・検討が迫られますが、当社の要件を前提にするとレンタルやリースという選択肢はあると考えていました。
そんなとき、三井物産とダイキン工業の2社合弁でエアアズアサービスという空調機のサブスクリプションがスタートするとう話を耳にしました。「快適な空調空間をサービスとして提供します」という言葉が響いたこと、複合機をサブスクリプションで利用し成功している社内事例があること、そしてB/Sを改善できるかもしれないという3つの観点から、エアアズアサービスを最終的な選択肢の1つに入れることにしました。
※1 空調機の心臓部である圧縮機と頭脳である制御基盤などの主要部品を高性能品に入れ替えることで、故障リスクの低減、快適性の向上、年間約13 ~ 15%ほどの省エネ効果を実現できる整備作業
3. オフバランスに大きな期待
エアアズアサービスを選定したポイントをお聞かせください。
2019年末に、前述した3つの方法のコストの試算を終えました。その結果、<空調機の入れ替え><空調機を延命させる>は大きな差がないのに対し、<エアアズアサービスの導入>はコスト的なメリットが高いと判断。もちろん、償却費・維持費をどう見るかによって若干の上下は出てくるとは思いますが、<エアアズアサービスの導入>の場合、大きな億単位の固定資産がB/Sから外れてオフバランスとなるため、大きな効果が期待できます。もちろん、空調更新のための初期費用もかかりません。
さらに<エアアズアサービスの導入>は、以下の2点も大きな選定理由となりました。
1. 管理面をお任せ
メンテナンス費や修繕費は故障発生後の状況を確認しないと試算が難しいのですが、そもそもエアアズアサービスはメンテナンス費や修繕費が不要。毎月のサブスクリプション費用のなかで運用・保守、メンテナンスや修繕費用まで補うことができます。突発的な費用に備える必要がなく、管理面をすべて任せられるのがエアアズアサービスの大きなメリットでした。
2. サステナビリティに貢献できる
エアアズアサービスを導入すると、電力デマンドコントロール機能や空調使用実態の見える化などにより、運用改善コミッショニングが実施されるとのこと。CO2排出量の削減を要件に掲げる当社としては、CO2排出量の削減につながる電気料金の抑制に取り組めるのは願ってもないことです。しかも、コミットする目標を達成するための改善提案もいただけるということでしたので、エアアズアサービスに任せたいという気持ちが大きく高まりました。
2020年に入り、購買部門ではエアアズアサービスの導入に向けた交渉を進めました。そして購買部門で取集した情報をもとに最終的には総務部門で総合的に判断し、そこでエアアズアサービスの導入を決定しました。
アシックス商事 東京支店にエアアズアサービスを導入した経緯もお聞かせください。
グループ会社のアシックス商事 東京支店については、空調更新時期が重なったためです。空調更新にあたって製品やサービスを選定しているという話でしたので、我々からお声がけしてエアアズアサービスを紹介しました。同社の自社管理施設でしたので、新フロン法への対応をお任せできることもメリットとしてご案内しています。
アシックス商事 東京支店では、複数の候補からエアアズアサービスを選定したと伺っていますが、その選定に我々は一切関わっていません。アシックス商事神戸本社と東京支店による比較・検討で、エアアズアサービスが選定されました。
4. 最大電力のコントロールを目指す
エアアズアサービスの効果をお聞かせください。
運用して間もないため、定量的効果は算出していませんが、現状では以下のような効果を実感しています。
1. 室温の一元管理
以前はフロアの部屋ごとに温度を確認し、適切な温度を設定しなければなりませんでしたが、エアアズアサービスでは各部屋の温度をコントロール室で一元管理できるようになりました。コントロール室では各部屋の現在の室温はもちろん、空調機の温度設定も自由に変更できますから、温度管理が楽になりました。
2. 電力量のコントロール
実際には、将来的な最大電力のコントロールを目指してデータを蓄積している段階です。例えば、コロナ禍で全従業員が出社する状況ではなかったとはいえ、37度という酷暑が続いた夏季休暇のあとは空調機の電力をかなり使いました。これ自体、適切な室温と電力量の抑制のバランスをコントロールするための第一段階。エネルギーマネジメントに必要な運転データが蓄積されていけば、見える化されたデータを参照しながら、エアアズアサービスが提供する専門的な運用改善コンサルティングのアドバイスをもとに、PDCAを回して最大電力をコントロールできると考えています。
3. 安心のサポート体制
入れ替えたばかりの新しい空調機ですから、もちろん、大きなトラブルはありません。将来的に発生するだろう機器の不具合には不安を抱くところですが、エアアズアサービスは空調機の運転を24時間365日、ダイキンのコントロールセンターで常時モニタリングしているので安心です。何かあればいつでも対応してくれるサポート体制は頼もしい限り。故障の予兆(約70%可能)を把握し、予防的なメンテナンスが可能という点にも期待しています。
5. 実店舗への展開も検討
最後に今後の展開をお聞かせください。
総務部門を中心に、自社物件や実店舗における空調機の運用の見直しを進めています。とくにアシックス製品の直営店や当社が独自に開発したプログラムを使用する機能訓練特化型のデイサービス「Tryus」といった介護施設店舗は、新型コロナウイルスの影響もあって収益が厳しい状況にありますから、空調機など電力量が大きい設備のコストを抑制し、店舗運営の健全化を講じる必要があります。
今後、財務面での効果を検証しながら、さらなるエアアズアサービスの導入を検討していきたいと考えています。